手動シャッター各部名称と構造
手動シャッターはシャッターボックスの中にある
バネ(スプリング)の力を利用して開閉するシャッターです。
※画像は三和シャッターのものですが、各社同様です。
※名称のみメーカーによって異なります。
シャッターの基本である
「内付」と「外付」
「単装」と「連装」
「天井納まり」と「露出納まり」
について理解してからこの記事を呼んだほうがより深く理解できるかと思います。
お時間があれば各記事をチェックしてみてください。
各部詳細説明
シャッターボックス
シャッターのバネが入っている箱。店舗などではシャッターボックスが天井内にあり表から見えないようになっている「天井納まり」のものもあります。多くは露出(外側から見える状態の)納まり。シャッターボックスの形によりいくつか種類があります。
ケース板
シャッターボックスの表面を覆う鉄板。ケース下地にビス打ちで固定されています。
メーカーによる呼称:スチール張りケース(三和)、P2上面ケース(文化)等
施工例:ケース交換
ケース下地
ケース板を固定するための金物。ケースの形により本数が違います。
施工例:ケース交換
まぐさ
スラットカーテンの通り道でブラケット下部にある金物。
シャッターボックス側を「外まぐさ」、反対側を「内まぐさ」といいます。
ブラケット
シャッター本体を支える大切な部品。シャッターの両サイドについています。
連装のシャッターの場合、中柱の上あたりに中間ブラケットが入ります。
一番最初につける部材のため、これを交換する場合はシャッターをすべて外す必要があります。(修理費用が高めです)
スラットが左右にずれたまま使い続けるとスラットがブラケットに擦ってしまい、ブラケットを交換するか補強する必要がでてきます。
施工例:ブラケット補強
バネ(スプリング)
スラットを巻き上げるための重要な部品。
上げ下げしているうちにだんだんバネの力が弱くなりバネ巻きが必要になります。
上げるのも下げるのも重い場合はバネ交換となります。
連装のシャッターの場合、間口の数分だけのバネがシャッターボックス内にあります。
メーカーによる呼称:上回り(三和)、スプリングシャフト(文化)
施工例:バネ巻き調整
施工例:バネ交換
バネ周り詳細
軸受け
ブラケットにあるバネを受け止めているところ。修理することは滅多にないものの、これに何かあるとシャフトごとスラットが落ちてしまうため重要な部品の一つ。
シャフト(軸)
バネの真ん中を通っている棒。軸のみの交換はできないため、軸とバネと合わせてバネと呼ぶことが多いです。
プーリー
バネの両サイドにある丸い円盤のような金物。吊元をこれに固定します。
吊元
スラットとバネの接続部分。
老朽化によりスラットとのかみ合わせ部分が開いてきてしまい交換することがあります。
これが取れてしまうとスラットが落下してしまいますので重要な部品の一つ。
スラット
シャッターを下げるとガラガラと降りてくるところ。板厚(スラットの厚み)、形状、色、材質にいくつか種類があります。
1枚1枚を横からさしこんでつなげています。専用の道具で端をかしめることでインターロックと呼ばれるずれ止めを作り左右にずれないようになっています。
横の長さはシャッターの幅により様々ですがスラット1枚の縦の長さは大体どのメーカーも6cm前後です。
座板・手掛けスラット・鍵スラット・めくらスラットで構成されています。
板厚
0.4t:文化のみ。
0.5t:一番ポピュラー。
0.6t:文化のみ。
0.8t:0.5の次に多い。手動の中では一番厚い。
通常の大きさ(2m×2mくらい)でしたら0.5tです。
CP仕様(防犯仕様)、耐火設備仕様、大きさが大きいもの、公共設備に設置してあるものは0.8tが多いです。
色
三和:サンド・ホワイト・ライトグレー・ブラウン・ガンメタリック
文化:シルキーホワイト・シルバーグレー・ペールベージュ
材質
スチール:世に出ているシャッターはほとんどこれです。一番安価。
アルミ:たまに見る。見た目にこだわりたい方や他と比べて軽いということで選ばれます。
ステンレス:たまに見る。見た目こだわりたい方や腐食に強いという機能面で選ばれます。
形状
材質により形状が違います。
メーカーカタログを見ると沢山種類がありますが、よく見るのは大体3種類くらいでしょうか。
三和:KE6N、K6M
文化:E2-S
座板(水切)
スラットの一番下にあるT字になっているところ。地面と接する部分であるため腐食しやすいです。
施工例:腐食した座板の交換
メーカーによる呼称:座板(三和)、水切(文化)
鍵スラット
シャッターを戸締りする時の鍵がついているスラットのこと。
シャッターの鍵の追加・交換のために必要な情報について
施工例:シリンダー錠交換
手掛けスラット
シャッターを上げるときに手をひっかける場所のついたスラットのこと。
ひっかける場所(スラットに開けた穴)に手掛け樹脂がはめてあります。
手掛け樹脂が割れたりなくなったりしてしまった場合は、樹脂のみ交換することができます。
めくらスラット
普通のスラットのこと。
施工例:車でぶつけてスラットを交換
レール(ガイドレール)
シャッターの左右にあり、開閉時にスラットが通るところ。
レールにオレンジやグレーの樹脂がついている場合があります。
多くは露出しているため見えますが、壁の中にレールが埋め込んであり見えない場合もあります。
もしレールに不具合があった場合、露出の場合は基本的に交換できますが、埋込レールの場合は交換できないためシャッターの開口幅を狭めて内側に新たにレールをつけることになります。
開閉時にキーキーと金属を擦るような音がする場合レールにCRCスプレー(クレ556など)を注油すると改善されますが、レール樹脂には注油しないでください。不具合の原因になります。
詳しくは「シャッターの正しい注油の仕方」で説明しています。
中柱
連装のシャッターの間口と間口の間にある取り外し可能な柱。
H3500以上だと補強材がついています。
耐風仕様の中柱
アルミで中柱の片面(もしくは両面)にかまぼこ型の補強材がついています。
風当たりが強い場所で何度も飛ばされてしまうというシャッターは中柱を耐風仕様のものに交換することをおすすめします。
施工例:何度も風で手動シャッターが飛んでしまう
埋金(壺金)
中柱をさしこむところ。地面に埋め込んであります。ゴミや砂が溜まりやすく腐食もしやすい部品です。
埋金が腐食して中柱がきちんと固定されていいないと強風時にシャッターが飛ばされる原因となります。
埋金の掃除の仕方はこちら:シャッターの台風・強風対策
施工例:埋金と中柱の落とし金を交換
施工例:中柱の下のほうが腐食してしまった